泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「お母さん…」

蓮唯は手紙を読み終わり亜藍に返す。

「美麗ちゃんは君の夢の邪魔をしたいんじゃなくて、
応援しているんだ。でも同じ思いはして欲しくない。
だから楓くんに頼んだんだよ。」

亜藍は空っぽになったココアを流し場に持っていく。

「私…勘違いしてたんですかね…。」

「そうだね…そういえばそうだけど、そうでもない。」

「…どういうことですか…?」

「勘違いだし勘違いじゃない。君は壁にぶつかったんだ。
…もう諦めるかい?辛い思いをしたくないだろう?
楓くんの差別が辛いからセレブ科に入るかい?」

亜藍は優しく言う。

「ぃぃえ…。いいえ。私、諦めないです。
楓さんにだって勝ってみせます!!」

蓮唯はそういい理事長室を駆け出た。

(美麗ちゃん。あなたの娘は強い子だよ。)

亜藍は走っていく蓮唯の背を笑いながら眺めていた。

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