泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「由緒正しき家系でも知らないものは知らないわ。」

「千鳥屋家とはこの学園の生徒会長、願音様の家系です。

千鳥屋家は代々それぞれの道が決まっていない珍しい家系として有名です。

願音様の御両親はお二方とも演奏家として名が挙がっている方々でして、

御母様の紫音(しおん)様はピアニスト。

御父様の久遠(くのん)様はヴァイオリニストとしてご活躍なさっているんです。」

淡々と説明をする希子。

「へぇ…じゃぁその会長様も音楽専門科?」

蓮唯は希子に聞く。

「はい。それに…願音様は世界で数少ない絶対音感をお持ちのお方です。」

「絶対音感…っ…」

朱音と蓮唯は知らない迫力に腰を引く。

「それに…。願音様の妹君の神音(かのん)様はモデルさんです。」

蓮唯はなぜわざわざ希子がそんなことを言うのかわからなかった。

「モデルが何?」

「確か蓮唯さんのお兄様…麗都様もモデルさんでしたよね?」

希子は聞く。

「うん。そうだけど?」

蓮唯は何も考えず答える。

「最近おかしなことは?」

「おかしいこと?麗都が?ないね。」

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