泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「なにこれ…?」

「課題です。」

佳はそう言うとピアノを弾き始めた。

「適当に合わせてみてください。

まずそれからです。」

(適当に合わせる…?ナメないでよね!!)

蓮唯は言われたとおり適当に合わせた。

「心の隅にキラキラ光る~♪

目の前にあるのはヒラヒラ舞う蝶々~♪」





「―――――うん。さすが古都凪 美麗さんの娘ですね。

音も合ってて響きのある歌声です。」


佳はそう言うと紙に何かを書き始めた。

「それ何?」

蓮唯は横から除く。

「評価表ですよ。この学園の全生徒を対象とした。」

「評価表?」

「これで卒業できるかできないかってことです。

理解が遅いですね。」

「よ、余計なお世話よ!!」

蓮唯はそういい紙に目を移した。

「さぁ、始めましょう。

蓮唯さんはまず腹式呼吸をもう少し鍛えたほうがよさそうですね。

ロングトーンが思った以上に伸びない。

これじゃぁ大きな舞台に立ったとき後ろまで聞こえないですよ。」

佳は蓮唯の横に立って蓮唯のお腹を抑えた。

「あーって言ってみてください。」

「あ…あー!!」

「吸って、吐いて。」

...佳の言うとおりやって数時間。...

「今日はこれでいいでしょう。

お疲れ様でした蓮唯さん。お気をつけて。」

佳はそういい教室から出て行った。

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