泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「だって…蓮唯さ…じゃなくて蓮唯が…っ…」

「私がなによ!」

涙を止めようとする優を見ながら言う。

「悲しそうだったからっ…」

「!」

「はぁ…」

蓮唯はため息を付いて言った。

「あのね。あんたは優しすぎ…。

もっと自分に優しくしなさいよね。」

「優しく…」

「そ、…ほら、帰るよ。」

蓮唯はそういい優に手を伸ばす。

「?」

「手、寒いでしょ…まだ春なんだから…」

(立場逆じゃない普通…私女なんだけど…)

蓮唯がそう言うと優は嬉しそうに蓮唯の手を握った。

「蓮唯は優しい。」

「何言ってんの。」

「一十木さんもわかってるきっと。」

「あんたにはわかんないわよ。」

そんな話しをしながら桜の並木道を二人で歩く。


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