泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
(ヘタレでチキンだったあんたが

いっちょまえに男っぽい口調で喋んないでよね…)

「調子狂うじゃんか…」

蓮唯は小さく言った。

「?なんかいった?」

「ううん!!なんでもない…」

(髪も短く切ったし…背も少し伸びてる…

ま、髪は前のがやたら気色悪いくらいに長かったんだけど…)

何も喋らず歩く二人。

〝ドキドキ…〝

近い距離にいて蓮唯の心臓は限界まで来ていた。

それに繋がれた手は熱いくらいに優の体温で温まっている。

白い息を吐きながら歩く優の横顔をバレないように見つめる蓮唯。

「近いコンビニって駅なんだけど…いい?」

突然振り向く優に驚き手を離した。

「蓮唯?」

「えっ…?あ、あぁ…やっぱりいいよ!!

悪いし…」

「は?寒空の下待たせたんだからこれくらい…」

「ち、違う!ま、まぁ…それもあるけど…。

べ、別に付き合ってないのに手をつなぐこともないし…

ごめん!!帰るね!!」

蓮唯は歩いてきた道を走り戻る。

「ちょっ蓮唯!?」

背中越しに聞こえる優の戸惑う声を無視して走る。
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