泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
優の声が聞こえなくなってきたところで立ち止まった。

「はぁ…はぁ…っ…」

涙が蓮唯の頬を伝った。

「うぐっ…」

(好きなのに…私…優のこと好きなのに…どうして…)

恥ずかしさのあまり優を置いて来た蓮唯。

「ぐすっ…んっ…うぅ…」

その場にしゃがみ泣き崩れる蓮唯。

既に時間は8時を回っていた。

空は真っ暗で蓮唯の頭上には明るく輝く星たち

月のあかりは蓮唯を照らしていた。

(帰らなきゃ…)

そう思い立ち上がり歩き始めたとき

〝ぎゅっ〝

後ろから抱きしめられる蓮唯。

「え…」

蓮唯は様々なことを考えた。

(不審者!?嘘…っ!!

ここら辺あんまり出ないって聞いてたのにっ…!)

振り払おうと抱きしめられている手をつかもうとしたとき

「蓮唯…」

静かに聞こえる優の声…。
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