もう絶対に君を離さない!!
春斗の決断
俺は病棟の回診を終わらせると、原先生と白石先生と共に空いているカンファレンスルームへ入る。

「すいません。お忙しいのにお呼び出しして・・・。」

「実は和也の存在なんです・・・。今、どうしているのか気にしているようなんです・・・。」

「いつかは、現実を知り受け止めなければいけないのは分かっているのですが・・。」

「今の実緒は14歳までの記憶しかありません。彼女の中での和也は、まだ生きているんです。」

そこで、原先生が口を開いた。

「こうしておいたらどうです・・。和也先生は、アメリカの提携病院へ行っていることにするとか。」

「今の実緒ちゃんに現実を教えることは、彼女の精神崩壊をまねいてしまう恐れもありますからね。」

白石先生はどう思われますか?

「んー。確かに難しい問題ですねー・・。」

「それなら、いっそうのこと20歳までいっきに見せてしまうという手もあるのですがね・・。」

「ただこの治療法は、体力も精神力もかなり必要なんです。」

「実緒ちゃんの場合だと・・・ここからは慎重に行っていったほうが良いのかもしれないですね。」

「早いですねー。和也先生が亡くなってそろそろ3カ月ですか・・・。」

そういえば、そうだな。もう12月か・・・。

俺は、和也が死んだ時のことを思い出していた。

俺たちにとって辛い記憶だ。

だったら、今はアメリカで生きていることにしておいたほうが、いいのかもしれないな・・。

でも、この方法は皆で実緒をだますことになる。

そのことを、知った時にどう思うだろうか・・・・。

俺のことを、嫌いになるだろうか・・・。

それとも、極度の人間不信になってしまうかもしれないな。
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