もう絶対に君を離さない!!
実緒の記憶は?
実緒が目を覚まして数日がたった。

熱も上がらなくなり、肺の影もほとんど消えていた。

食事も普通食になり、また一緒に二人で食べられるようになった。

そこで、白石先生の治療を再開することになった。

14歳の記憶まで戻っていた実緒は、さすがに膝の上は恥ずかしいと言い一人で椅子に座る。

でも、いざ始めようとすると急に体を固くして俯いてしまう。

俺は後ろから実緒を包み込むように座ると、手を握る。

「大丈夫だよ。怖くない。ずっとこうしててやるから・・・。」

優しくささやいた。

原先生もにっこり笑って見守っていてくれる。

「白石先生、お願いします。」

実緒はまっすぐと先生の方を見つめた。

「では、始めます。体の力を抜いて目を閉じてください」

言われるように目を瞑ると、ギュッと俺の手を握り締めてきた。

「実緒ちゃん、今そこにいるのは14歳のあなたです。これから、大きく成長しますよ。」

「15歳・・・16歳・・・17歳・・・18歳・・・。」

「あなたは、今19歳の姿になりました。あなたの周りをその頃の記憶がゆっくりと回っているのが見えますか」

「それは、脳に刻まれている思い出です。分かりますか・・。」
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