もう絶対に君を離さない!!
実緒は少しずつ記憶を思い出しているようだった。

なかでも、和也との思い出はとても楽しかったようで、かなり鮮明に脳に刻まれているようだった。

俺の知らない二人の記憶を、語りだした。

その光景が頭に浮かぶたび、俺の心はチクリと痛んだ。

自分の耳を塞ぎたいくらいの気分だった。

その時、実緒が急に頭を抱えて・・・・。

「暗い・・。何も見えないの。怖い!!」と震えだした。

白石先生は、実緒の両腕を掴むと・・・。

「焦らないで・・。一人で先に進んではダメです。」

「まずは戻りましょうね。」白石先生は優しく問いかける。

「でも、真っ暗なのよ!!何も見えないのにどこへどうやってもどるの!!」

「大丈夫です。僕が道を作ります。いいですか?」

「まず、頭の中を真っ白にして体の力を抜きましょう。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「次に、一箇所だけ光ってるところがあるはずです。それを見つけてください。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「ダメ!!見つからない!!嫌!!ここは嫌!!」

俺は思わず実緒を強く抱きしめて、何度も実緒の名を呼んでいた。

「春兄なの?どこにいるの?春兄ーー!!」

そのまま意識を失った。

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