もう絶対に君を離さない!!
春兄は、一度私をベッドに寝かせると、体にたくさん着いていたコードを外してくれた。

「実緒。どこか辛いところはないか?息苦しくない?」

私は、うんと頷く。

春兄は、やさしく微笑むと大きな温かい手で、頭を撫でてくれた。

「心配したんだぞ。実は事故の後、和也が意識を取り戻したんだ。」

「そして、実緒を頼むって・・・。」

「その後、和也は息を引き取ったんだ・・・。」

その時の春兄は、淋しそうな顔をしていて今にも泣きそうだった。

「ごめん。今話す内容じゃないよな・・・。」

「でもね、和也の最後の顔はとっても晴れやかで、幸せそうに微笑んでいたよ。」

「だから、実緒は自分のせいだって責めちゃだめだよ。」

「一人で悩まないで、俺に話して欲しい。」

私は、涙が止まらなかった。

春兄は、私が泣き止むまでずーとそばに居て抱きしめていてくれた。

「実緒、疲れただろう。少し眠るといいよ。安定剤飲もうか?」

「それとも、このまま2人でいつものように眠るかい?」

そういえば、この部屋にきてからは、ずっと春兄と寝てたんだよな・・・。

完全に記憶がもどった私は、急に恥ずかしくなってきた。

それを察したのか、春兄は薬を取りに行こうとする。

私は思わず、春兄と一緒がいいと引き止めた。

「分かった。そうしよう。」

春兄は白衣を脱ぐと、ベッドに入ってきた。

腕枕をしてもらい、春兄の胸元の服をギュと掴む。

背中をリズムよく、やさしくトントンとたたいてくれる。

私は、安心して眠りについた。
< 78 / 90 >

この作品をシェア

pagetop