紅葉
今日も部活をしていたからか、少し遅い時間だった。
「百合ちゃんがさぁ」
明から出る女の子の名前。
私の好きな人には、好きな人がいる。
でも、悲しいなんて思わない。
だって、幸せになってほしいんだもん…………
…………だって、
私は直ぐに死んでしまうんだもん……………
でも、私の大好きな明は知らない。
彼女じゃないから…………
幼なじみが悲しませちゃいけないんだよ。
お母さんも明には言わない。
私の我が侭で家族以外には教えないって約束したから。
「早く治せよな?…で、早く俺みたいに好きな人を作れよな?」
「クサイよ明……」
「煩い////」
いつも「早く治せよ」って明は言う。
それが嬉しい。
例え、叶わない言葉だったとしても、
私はそれで元気になれた。
その言葉で充分だった。