紅葉



「じゃ、そろそろ行くからな」



「明、頑張れよ」



「おう」と手を掲げる明に手を振る。




明が去った後…………



「ゴホッ……ゴホッ…ゴホッ…」



無性に苦しい咳が止まらなくなる。



もう止まることのない咳は、不思議と明の前だと全く出ない。



「明……ゴホッ…ゴホッ…」





もう少しだけ…………




もう少しだけ、明を応援していたい………………




なりやまない咳に、私はその想いを強く生きる力を保っていた。





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