紅葉
『私は明が幼なじみで、嫌だった事はないよ。スッゴい煩いけど……仲間思いで優しくて…コホッ……それで、コホッ…コホッ………凄くカッコイイ』
「紅葉…何処にいんだよ?」
照れ臭い言葉に、いつもの調子で返せなくて、再び同じ質問をしていた。
『私ね、明のこと応援してるからね?』
嫌な予感がした。
早く紅葉に会わなきゃいけない………
捕まえなきゃいけない…………
今、怒りたい気持ちが大きいのに……………
何故か涙が溢れていた。
『明、ありがと…ゴホッ…ゴホッ…』
「っっ?!!」
〈プツ……ツー…ツー…〉
神尾「紅葉っ…」
そのまま切れた電話を握りしめて、無我夢中に病院に走った。
脚じゃ少し遠いけど…今更自転車を取りに帰るなんてしたくなかった。
ただ、紅葉に向かって走っていた。