真夏の高校生探偵記
第2章「高校生パチプロ誕生」
-『ゴールドメッキ』2F オフィス
「では、話してください」
清二は早速、本題に入ろうとしていた。
「…まぁ、待て。お前のパチンコの腕は結構良かったよ」
「確かに、凄腕って感じどした!見ててドキドキしたんやよ」
瞬と美月は清二のパチンコの腕をほめた。
「…ですが、パチンコはほとんど運じゃないですか…?」
「確かに運は必要…」
「やて、ハンドルん調整とかそないゆーこんまいんは腕が重要ってことどすえ!」
「そうなんですか、ありがとうございます…さて話を…」
「すまん、美月ちゃん。喉が渇いたから飲み物を買ってきてくれ」
「分かったんや。毎度ん、でええどすか?」
「あぁ、清二君の分も買ってきてくれ。お金はあとで払うから」
「わかりましたぁ!」
美月は自動販売機に飲み物を買いに行った。
「さて、話って…今朝の事だろ?」
「知っているなら話が早いですね。単刀直入に聞きます。今朝『金剛会館』に行きましたか?」
「……いや、残念ながら今朝は予定があって行ってないんだ」
「それは本当なんですか?」
「あぁ、残念ながら俺1人しかいなかったから誰かに証明してもらうことは不可能だが…昨日から用があって隣街の「新緑町」へ出向いていた。昨日の事は新緑町の邸に住む氷室冷蔵と言う者に聞いて見るがいい」
「新緑町…?」
「金剛町から南西にある都会化が進んでいない唯一緑溢れる町だ」
「なるほど…ですが、最近『金剛会館』に足を踏み入れたことは?」
「…………『金剛会館』残念ながら言った事ないんだ。2年ほど前からここに住んでいるけどな…そこには行った事がない」
「…では、この毛はいったいなんでしょう?」
「紫色の毛…俺の髪の毛ってわけか」
「はい」
「…一応警察に提出してみるがいいさ」
「よろしいのですか?」
「……あぁ」
「たや今戻ったんや!」
ちょうどいいタイミングで美月が帰ってきた。
「…!美月さん」
「清二君、これ飲むやろー?」
美月はサイダーを手渡した。
「あ、ありがとう」
「瞬はんは、いつものでしたよね」
美月は、コーヒーを手渡した。
「ありがとう。…ちょうどいい。美月ちゃん、この後予定はあるかい?」
「え?え、えぇ…もちろんです!」
「付き合ってほしいところがある」
「わ、わ、わかりました!」
「(…美月さんって緊張すると京都弁が抜けるんだな)」
「清二。俺はこの後氷室さんのところへ行く。君には是非探偵ごっこよりパチプロの人生を進んでほしい」
「パチプロ!?」
「…冗談です。ですが、考えてみてくださいね」
そう言うと、瞬と美月は部屋を出て行った。
「…パチプロ。ギャンブルの道なんか…歩むものか」
清二はそう胸に誓った。
「新緑町の氷室冷蔵…か。大久保警部に話してみようか」