影光 ーmoonlightー
「いきなり消えないでくださいよ。
嫌われちゃったのかなって思ったじゃないですか…」
何も言えない。
失うことが怖くて人と近くにいられない。
失うことに免疫がなくて震える。
「夢叶先輩が何考えてるか分かんないですけど
俺、ちゃんと知ってますから。その…色々」
言い淀んだ梶山くんは私の隣に腰を下ろした。
今日の空の色は何色だっけ。
予報では一日中曇り。曇天だったはず。
空が好きなのは人間の性のようだ。
風が吹くたびなびいてしまう髪を手で押さえつける。
梶山くんはその手をとった。
「俺ん家ピアノあるんです。
弾いてください。それだったらいいでしょ?」
足の間に顔を埋めたまま頷くと
校舎へ戻り1分ほどで戻ってきた。
私のカバンを持って歩き出す。
手を自然に引かれ、自然と見上げた空は
黒い雲が漂った灰色の空だった。
嫌われちゃったのかなって思ったじゃないですか…」
何も言えない。
失うことが怖くて人と近くにいられない。
失うことに免疫がなくて震える。
「夢叶先輩が何考えてるか分かんないですけど
俺、ちゃんと知ってますから。その…色々」
言い淀んだ梶山くんは私の隣に腰を下ろした。
今日の空の色は何色だっけ。
予報では一日中曇り。曇天だったはず。
空が好きなのは人間の性のようだ。
風が吹くたびなびいてしまう髪を手で押さえつける。
梶山くんはその手をとった。
「俺ん家ピアノあるんです。
弾いてください。それだったらいいでしょ?」
足の間に顔を埋めたまま頷くと
校舎へ戻り1分ほどで戻ってきた。
私のカバンを持って歩き出す。
手を自然に引かれ、自然と見上げた空は
黒い雲が漂った灰色の空だった。