影光 ーmoonlightー
「答えなくていいです。




先輩の泣き顔、見たくないですし



何かあったら俺のこと頼ってくれれば


それでいいから。」





目を逸らした。




反射的に手首をつかむ。






あの日あいつを消したこの手を。






「頼りたくない」


「!!」



「頼ったら



一度甘えたら




自分を許してしまうから。






ごめん」





「…そうですか」






梶山くんは静かに答えた。




防音設備の整っているこの部屋には





静けさが戻った。





「俺、虐待されてたんです。

母に」
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