care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
「離して!!汚い!!」
空への私の発言は友達への
優しい言葉ではなく
大嫌いな男への言葉に変わっていた。
「聞いて、美咲。お願い」
空の顔が悲しく歪む。
いつの間にか雨が降っていて、
その雨音に紛れて空の声が聞こえる。
「私、空は他の男と違うんだって
思いこんでた。
空にだけ心を開いて
空だけを友達だ。と思って
空だけを応援してたの。」
私の声は雨にも負けない強さと
大きさで空へと響く。
「でも違ったんだね!!
私だけだったんだね!!!
…ひどいよ。ひどいよ!!!!
…もう本当に男の人を信じれなく
なっちゃったよ。全部あなたのせいだ」
空は雨に濡れたまま私をじっと
見つめる。
「うん、俺ずっと学校の女子を
ゲーム相手だと思ってた。お前の事も」
…やっぱり。
「残念だったね!!
私、空に落ちてないよ!!
あなたの負け。
その代わりもう私は男なんて
信じない。だから、だから!
もう、ゲーム相手変えた方がいいよ?
どう頑張ってももう私を落とせない」
私はびっくりするくらい言葉を吐き、
その後に自分にとってどれほど空が
大きかったのか改めて感じて
悔しくなった。
「…もうゲームなんて、とっくに
終わってるよ。ゲームオーバー」
「は?そんな事言っても、私
もうあんたなんて信じないから。」
今考えたら簡単じゃん。
空は俳優もしてるんだよ?
少し演技するくらい余裕でしょ。
だからきっと今までも全て演技。
ほんと最低。大嫌い。
私は空を思いっきり睨んで
逆の方向に走ろうとした。
でも
ずっと空が私の腕を離してくれない。