care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
沢山の怒声を浴びて沢山の拳が落ちてきた
私の体はぐったりとしてソファーの上で
1ミリも動けない。
時間がどれくらい進んだかも
どこを殴られたのかも分からずに
私はうつろな目で、はあはあと
肩で息をする春を見つめた。
春は私と目が合うと震える手で私を
抱きしめる。
春に抱きしめられ、ダラリとして
力ない私は、まるで人形のようだった。
「もう俺にこんな事させないでよ」
変わってない。春は変わってない。
昔と変わらず、暴力をした後は優しい。
春が再び私の体に舌を這わせる中、
私は口の中の鉄のような味を
早く吐き出したいと思ってた。
ガチャン
静かな部屋にドアが開く音がする。
「…なに」
春は私の体から玄関の方に目を向けた。
「………。」
それに続けて私も玄関の方を見る。
そこに走って入ってきたのは
空だった。