care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
君にとって私は
空は私を空き教室の中に連れ込んだ。
私と空は数分間お互い黙り込んで
それから空は大きい溜め息をつきながら
しゃがみこんだ。
「良かった。美咲、無事で」
「空…ごめん」
空がなんで怒ってるのかは分かる。
多分、スマホを持ってるのに
電話に出なかったから。
「なんでシカトしたの。
俺、春ってやつにスマホ
取られてんのかと思った」
空はしゃがみながら顔だけを上げて
私を見つめてくる。
「…私、もう空には関わらないって
決めたの。」
「なんで。」
「だって、空は私に関わると
どんどんダメな方向に
向かっちゃうんだもん!!
だから電話にもメールにも返事
しなかったの。」
私も本当は空と一緒にいたい。
そう思って下を向いて涙を零すと
ぎゅっ
空が優しく抱き締めてきた。
「そ、空…」
「ばかじゃん美咲。もしそうだとしたら
とっくに俺から離れてるよ」
「じゃあ何で離れないの」
「だって俺、美咲と仲良くするように
なってから毎日学校楽しいもん。
前は義務的にしか思ってなかった」
…嬉しい。
私は思わず空の背中をぎゅっと握った。
「美咲…ごめんスマホ投げて」
「いいよ。そろそろ変えようかと
思ってたから。しかも無視した
私が悪いし。」
良かった。
私、空のそばにいてもいいんだね
「あ!!てゆか何で春に暴力なんて…」
私が一番聞きたかったこと。
「当たり前だろ。美咲をたくさん
傷つけやがって。俺、あいつを
殴ってるとき本気で殺してやろうかと
思った」
「やめて!!気持ちは嬉しいけど
空の人生が私のせいで崩れていくと
思うと私、空の近くには
いられなくなる」
「わかったよ。もうしない。
だから俺から離れようとすんなよ」
「うん」
もう離れないよ。