care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
「…後ろの廊下側」
私はくじを引いた後、
黒板に書いてある座席表を確認した。
席的には悪くない席。
でも…空は前の窓側。
「あーあ離れちゃった。」
神様はいじわるだ。
しかも麻央も遠いし。
私が荷物を持って廊下側の席に
移動しようとしたとき、
ふいに腕を掴まれた。
男子なら振り払う。
でもこの腕は-・・
「…空っ」
涙で濡れた視界の中、空を見つめた。
空の指が近づいてきて
私の涙を拭う。
「離れちゃったね。もう移動するの?」
「うん…ばいばい」
空の指が私から離れていくのを目で
追いながら呟いた。
空は離れても寂しくないんだろうな。
そう思って空の腕から自分の腕を
抜こうとしたら空の力が強くなって
抜けない。。
「空?」
「ばいばいとか言うなよ。
別にお別れとかじゃないし。」
「あ、うん。そうだね」
向こうから空の隣になって
喜んでる女の子の声が聞こえた。
それに嫉妬しながら空から目を逸らす。
気づいたら空は私の腕を掴んでいなかった