care～男嫌いな私とアイドルのあいつ～

雨

放課後。





私は先生に頼まれて一人
日誌を書いてた。

私が座ってる席は空が前だった時の席。


ここから見える景色はいつもと一緒で


夕日が差し込む教室は
オレンジ色に染まってて



こんなに寂しい教室は初めてで
涙が出てきた。








「今日はとても楽しくて面白い１日でー」



「ぎゃあ！！空！！？」





気づいたら空が目の前に座ってた。




まるで少し前の私達みたいで。





空は私の日誌を
まだぶつぶつ呟やきながら読んでる。





…なんでここにいるの？


なにか忘れ物でもしたのかな。





空は日誌を全て読み上げると
顔を上げて私の目をじっと見てきた。





「そ、空、なんで」



「ねえ今これほんとに思ってること？」



「へ？」




空の目は揺れていて、でも私の目を
真っ直ぐ見つめている。





私はそんな空の目から日誌に
視線をスライドした。





”今日はとても楽しくて面白い１日でした
前よりもクラスの皆と仲良くお喋りできて
友達が増えました。男の人って思ってた
より皆優しくて、今まで仲良くしなかった
のがもっないないなって思いました。”






日誌を読んだ後、私はまた空を見る。




空は無表情だった。






「ほんとのことだよ」




私がボソッと呟くと空は目を逸らした。




「最近、慶とも仲良いよね。
　良かったじゃん。男嫌い克服できて」



空はどこを見てるか分からない。


だけど薄く笑っている。












「ねえ空…私が好きなのは空だよ」










私は気がつくと空に言っちゃってた。





胸に押さえ込もうとした気持ち。










「ごめん。」





わかってたのに。