care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
ライヴまであと3日。
私と慶くんはずっとそのことで
盛り上がっていた。
「でね、ボーカルが」
『ねえ空ぁ』
慶くんと喋ってる時、ふいに
空を呼ぶ女の子の声が耳に入った。
そっちについ目がいってしまう。
猫なで声で話しかける女の子を
空は甘い笑顔で見おろしている。
ズキ。
私にも前はあんな笑顔向けてたよね。
「…さき…美咲!!」
「あ、ごめん慶く…んっ?」
慶くんに視線を戻したと同時に
慶くんの唇が私の唇を塞いだ。
私は何が起きたか分からずに
一瞬フリーズする。
その時ー…!!
ガンッ!!!!
誰かが私から慶くんを引き裂き
そして慶くんを殴った。
慶くんは殴られた頬を撫でながら
殴った相手を見上げる。
私も同じように見上げた。
「空…?」
なんと空がはぁはぁと息を切らして
鋭い目で慶くんを見下ろしている。
なんで。
なんで殴ったの?
ねえなんで空。
私は混乱して目を泳がしていると
空に腕を掴まれて教室から連れ出された。