care~男嫌いな私とアイドルのあいつ~
空は誰もいない廊下まで歩くと
足を止めた。
でも繋いだ腕は離さない。
「ねえ空…「美咲」
空は私の名前を呼び振り返った。
空の表情は今まで見た事ないくらいの
曇った表情。
そんな空に歩み寄る。
知りたい。
空が慶くんを殴った理由。
空は私に手を伸ばし、唇を親指で拭った。
そして私を引き寄せて抱きしめる。
私は空の意味不明な行動に混乱した。
「美咲、慶の事好きなの?」
…慶くんのことを?
当たり前じゃん。
慶くんは大事な友達だもん。
「好きだよ。…ていうかなに?
空、慶くんと仲良くしてて良かった
って言ってたじゃん。」
空がわかんない。
「ごめん全部うそ。ほんとは嫌だった。
美咲が俺以外の男と仲良くしてるの。
慶が美咲にキスしてるのを見た時、
嫉妬して俺、壊れてしまいそうに
なった。」
空は震える声で言い、さらに
私を強く抱きしめる。
空っ…
「ずっと前から好きだった。
美咲を守るって決めた時から。」
”美咲の事は俺が守るから”
あの時から私のことを想っててくれたの?
なんだ…私達両思いだったんじゃない。
私の頬に一筋の涙がつたった。
「私も空が好きだよ」
空が私の瞳から唇に視線を下ろして
私たちはキスをした。