まゆ

クラスマッチ当日

「頑張れ~♪玲奈すごっ!」

待ちに待ったクラスマッチ当日。

あたしは得意の素早い動きで、コート内を逃げ回る。

今コートの中にいるのはあたし一人。

このままあたし、永遠にボールに当たらなそうだったし、負けは

決まってるから、わざと当たって終わらせた。

「おつかれ、玲奈!めっちゃかっこよかったよ~♪」

「ありがと。美桜も杏奈もすぐ当たっちゃったからびっくりしたよ?」

「あはは!うちら、玲奈みたいな逃げる専門選手じゃないもーん」

「専門だから投げるのは全くできないけどねー」

「あっ!男子のドッジ始まるよ!」

まぁ、いくら男子でも、あたしの素早さにかなう者はいるまいっ!

「えっ!?ちょ、見て玲奈!」

「超速くない?」

へ!?は…速っ!

ボール投げるのも速いけど、逃げ足もあたしの倍速いっ!

ま…負けました……。

「玲奈、そんな落ち込まないで?玲奈もすっごい速いから!」

「あ、うん。ありがと…」

そう言って、あたしはしゃがみこむ。

あーあ。あたしには逃げ足が速いことしか取り柄がなかったのに…。
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