音楽室ハプニング
駅まで歩く。
「寒っ…」
マフラーを口元まであげる。
白ブレが珍しいのか通りがかった人は
チラリと見ていく。
学園の制服は中はセーラー服、
冬はその上には白ブレだ。
男子はシャツにブレザーにネクタイ。
夏は暑いんじゃないかなぁ…?と毎年思う。
『プルルルルルル…』
改札を過ぎた瞬間、プルル…と音がする。
「どーしよ、待って待って待って…!」
この電車を見逃すと待ち合わせに間に合わない。
急いで階段を駆け下りるが、降りた瞬間
『プシュー…』
行ってしまった。
ギリギリの電車だったのに…
「はぁ…」
どう考えても間に合わない。
仕方ない、連絡…と思ったその時…
「おはよう、サクラ!」
後ろから声が聞こえる。
「え、なんで…」
手で目を押さえられる。
「ちょっと…やめて」
外れた瞬間、相手の顔が目の前にあった。
「…やめてよね。
潤…」
「イヒヒ〜
おはよ、サクラ!」
「おはよう、潤…」
少し顔が火照る。
あんな目の前に顔が…
「怒った…?」
不安そうにこちらを見上げる。
不意にこんな顔をされたら…
「怒ってないよ。びっくりしただけ。」
照れてしまう…
そんなこと言える訳ないけど…
「いこっか!」
手をギュッと握られる。
「うん…」
待ち合わせ相手と一緒に、電車に乗った。