声なし姫〜空に羽ばたく声〜
「なあ、宇美。」
「ビクッ」
「陽菜乃の場所、知ってるんじゃないか?」
「な、なにいってるの?知る訳ないじゃん!バカだなー!」
たどたどしくいう宇美はあまりにも不自然で、とうとう太陽が切れた
「お前ふざけんなよ!かくして何が楽しい?知らないって言うならそれで良い。ただな、知ってて黙ってるならもう俺と二度と関わるな。」
俺は陽菜乃を探しに行く。そう言って向きを変えて行こうとする所に宇美の悲痛にもまぎれた声がこだました
「なんで?!なんであの子にこだわるの?!声も出ないし無愛想じゃない!なのに
「ふざけるな」」
静かだけど、怒りを含んだ太陽の声に初めて恐怖を覚えた。
「お前ら言ったよな?皆どうせ自分たちの外見しか見てないって。お前らがそうじゃねーか。陽菜乃の何を知ってる?声が出ない。無愛想。それだけで人を決めつけるのか?」
「そ、それは・・・」
俺たちが言いよどんでいると宇美が弱々しくつぶやいた。
「6階の空き教室・・・」
すると太陽はふわりと笑って
「ありがとな」
それだけ言って走って向かって行った。結局その日は二人とも帰って来なかった・・・