暴走族に愛された不登校女子。
「な、直樹っ」
直樹が目の前にいて、怪訝そうな顔をしていた。
そしてぐったりとしているお兄さんの胸ぐらを掴んだ。
「ンで、コイツがナイト様ねぇ?」
「アンタ…もうやめて頂戴! お兄ちゃんに手を出すのだけはっ」
「俺の彼女には手を出してもいいのに、自分の兄貴は駄目?
俺は理不尽なのが一番嫌いなんだよ……。
前にもコイツ殴ったけどまだしてもらいたいんだな?」
「っ」
お兄さんはもう話さなかった。ただ静かに、直樹の暴力に耐えていた。
「直樹っ! もういいよ」
あたしが呼んでも、直樹は止めてくれない。
「直樹!!」
後ろから抱きつくと、その手が止まった。そしてあたしのほうに振り向くと、強く抱きしめられた。
「お兄ちゃんっ…」
直樹はそのまま静かになっていて、あたしは小呉を見つめた。