暴走族に愛された不登校女子。
「お兄ちゃん……」
「…小呉。お前は間違ってねぇよ…。俺は大丈夫だから…」
「やだぁ…、もういいよ……。お兄ちゃん、お願いだから…うちの傍にいてよ…」
小呉が泣いている…?
「あ! いた!! 杏ちゃんっ、直樹…」
智さんの声と嵐さんが走ってくる音。だけど直樹は静かなままだ。
「え…直樹…。まさか…熱があるの?」
額に手を当てると、凄い熱い。
それを智さんに伝えると、嵐さんが直樹をおんぶした。
「コイツはな…、人を殴ったりするといつもこーなんだよ!」
「え…?」
「後で話すから、杏ちゃんおいで」
「うんっ…」
小呉達をその場に置いて、あたしは智さんたちに着いていった。
あの時、小呉が泣いたのは本当にびっくりした。