暴走族に愛された不登校女子。
それが智さんの唇だと理解するのに、時間がかかった。
「杏ちゃん、好き…」
「智、さん……。あたしは…」
「ごめん。それでも…。
それでも好きなんだ」
あたしは昔から、誰かを拒むことを恐れていた。
拒絶すれば、絶対に傷つく。
蒼太を遠ざけたように、あんな表情を見たくない。
―だけど…。
「ごめん、智…さん。あたしはどうしても、愛してる人がいるんだ。
その人はあたしにとって、かけがえのない人なんだ」