暴走族に愛された不登校女子。
* Story 11 *
「っぷ…! はははっ!!
杏ちゃんってば、冗談も通じないの?」
数秒後、何故智さんが笑っているのか理解できなくて硬直していた。
(……え?)
「ごめんってば。杏ちゃんの表情が面白いから、つい嘘言っちゃった」
「……それホンキ?」
「はは。まぁー…、杏ちゃんのことは友達として、好き。直樹への気持ちを確かめたくてね。
それに俺はまだ、吹っ切れてないから」
「智さん、あたしまだ半ギレなんだよ?」
「……冗談くらいいいじゃんな?」
「…これで最後だからね?」
智さんがほっとしたように、笑みをまた零した。
(全く…人がどれ程考えたか…)
呆れ顔でもう1度見れば、智さんは猫とじゃれていた。