暴走族に愛された不登校女子。
「…本当に懐かしいや」
『ん。何かあった? あったんだな?』
相変わらず鋭いし、しつこい。
「静くんに会ったよ…」
『えっ!? マジ?? じゃあ一発殴りに行かなきゃな!』
「駄目に決まってるでしょ」
自然と笑顔になっていた。
あたし、やっぱり蒼太の傍が一番落ち着くのだ。
それは長年一緒にいた幼馴染として。
初恋の人としてでもあるかも知れないけど…。
「そっちは元気? 謹慎処分2日目でしょ」
『俺は暇すぎて寝てたら、母ちゃんに蹴られた』
「相変わらずじゃんか」
『だろ? まぁその後は兄ちゃんのバイト手伝ったかな』
「おぉ~」
感心していると、蒼太の声色が変わる。
『杏…、こっち戻ってこないの?』