暴走族に愛された不登校女子。
「……今はまだ」
『そか…。なら仕方ないな。お前の母さん、最近じゃ見かけないんだよ』
「…え?」
『家の中にいるのかもわかんないし、とりあえず明日会わない?』
「分かった」
これはいい機会だ。
直樹の学校に行けば、絶対に智さんに会う。
今は複雑だから…会いたくない。
『後さ、静のヤツ。呼べないの?』
「明日? んー…、どうだろ。聞いてみるよ」
『オッケ。杏、ちゃんとご飯。食べてる?』
ころころと話を変える蒼太に、少し笑みを零していた。
「食べてるよ、いっぱい。また蒼太のお母さんの手作りハンバーグ食べたいな」
『お! いいな!! また頼んでみるな』
「ありがと」
他愛のない会話がどんどん続いていく。
昔から蒼太とは、通話時間が本当に長かったっけ。