暴走族に愛された不登校女子。
*届かない手のひら*
* Story 12 *
次の日を迎えると、いつも通りの朝だった。
直樹の寝息が聞こえて、泣きそうになった。
あたしが直樹と暮らして、約一週間が経とうとしていた。
たったの一週間かも知れないけど本当に楽しかった。
夢だと思い込みたかったぐらいに。
部屋の奥に小さく荷物がまとめられていた。
「……起きる前に行こうかな」
いつも通り朝ごはんを作り置きして、玄関を開けた。
まだ朝の6時の空は、青く澄んでいた。
背伸びをして、家まで歩き出した。
家までの距離は結構遠くて、1人になりたかったあたしには丁度いい距離だった。
目を閉じれば、昨日までの生活。
寝ても起きても、直樹がいる日々。
そんな生活はもう二度とやってこないのかも知れない。
「はは……、結局はあたしのワガママだったじゃんか」