暴走族に愛された不登校女子。
* Story 13 *
「直樹、あたし行かなきゃ。
蒼太にちゃんと言ってくる」
「…蒼太って幼馴染だよな?」
「ん? そうだよ」
「俺も行く」
直樹が何かを決めた表情を浮かべていた。
「それにそこまで徒歩とかきついだろ」
「…確かに」
ここまで来るのに、かなり疲れた。
あたしの家はもうないと同じなのだ。
だから別れを告げる。
あたしの大事な家に。
「バイク、杏が今朝出て行ってから乗る気がなかった」
「…え。学校は?」
「休んだ」
「……直樹。何であたしにちゃんと確かめなかったの…?」
また泣きそうになる。
すると直樹が目を伏せて、自嘲気味に微笑んでいた。