暴走族に愛された不登校女子。
智さんの行動が何1つ、分からない。
あたしはただ、見つめていただけだった。
あの時引き止めていれば。
何かが変わっていたのかも知れない。
それはもう、分からないけれど。
――杏の自宅。
「ただいまぁー…」
自分の家なのに、何故か緊張する。
まだ蒼太達はいるのかな…?
直樹も入ってきて、静かに辺りを見渡していた。
あたしは自分の部屋に入ると、2人の姿が見当たらないことに首を傾げる。
「あれ…?」
「いねぇじゃん」
「いや、確かにいたんだけど…」