暴走族に愛された不登校女子。
ふと目に留まった懐かしい勉強机。
これは初めてお父さんにねだって買ってもらった物だった。
写真立てや、部屋中に飾ってある絵画。
これは全部お父さんとお母さんが書いてくれたもの。
「……杏は、こんな家に住んでたんだな」
「うん…」
「俺の家とは大違いだな」
「直樹の家って、今住んでいるとこ?」
「…いや。前、母さんと父さんで住んでたところ」
「………そっか」
うさぎのぬいぐるみは、お母さんが仕事帰りに買って来てくれたもの。
毎日抱いて寝るほど、大事にしていた。
でも本当に大事だったのは―…。
「皆、なくなっちゃったね」
「…あぁ」