暴走族に愛された不登校女子。
家に着くと、直樹は眠そうに欠伸をした。
「風呂は朝に入れ。眠いから歯ぁ磨いたら寝んぞ」
「はーい」
パジャマをリュックから取り出して、歯ブラシセットも出す。
「準備万端って感じだな」
「もう家には帰らないって決めてたからね」
「明日は学校なんだろ?」
そういえば、今日はまだ木曜日だ。
てっきり土曜日だと思っていた。
「そうだね。行かなきゃ蒼太も心配するよね」
その言葉に直樹が反応した。
あたしは洗面所で着替えようと、リュックの傍から立ち上がる。
――ダンッ!!
直樹の足があたしの足の間で、壁にぶつかっていた。
(これ…股ドンじゃんか)
恐る恐る顔を上げると、直樹は怖い顔をしていた。
「お前がソイツの話をすると胸くそ悪い。もう二度と言うな」
「…分かったよ」