暴走族に愛された不登校女子。





それから駅まで送ってもらうと、ゆっくりと学校に向けて歩き出した。


本当は逃げたくなる。


また小呉に言われたら…って。




学校にあっという間に着いてしまうと、ついため息が零れてしまう。



下駄箱を開ければ、
ゴミがやっぱり入っている。
それはバナナの皮や、汚い雑巾など色々だ。不快を覚えて眉間にシワを寄せた。



下駄箱に入っていたものをゴミ箱に片付けて、
スリッパを借りる。

歩く度に、音が鳴る。


教室の扉に手をかけた時に、嘲笑うかのような声が聞こえた。


「今日から、アイツ。来るんだっけ」


それはクラスメイトの声で、小呉に問いかけているような会話だった。


「うん…そうだね」


だけど、中から聞こえたのはいつもの高笑いをする小呉の声ではなかった。



驚いているのはあたしだけではなかったみたいで、クラスのざわめきが小さくなった。




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