暴走族に愛された不登校女子。
* Story 1 *
朝起きると、うんと伸びをした。
直樹はあどけない子供の表情を浮かべて眠っていた。
(いたずらしたくなるけど…、止めておこう)
携帯を開くとまだ朝の6時半を過ぎたところだった。
(やることないから朝ごはん何にするか考えよ)
携帯の光に目を細めながら検索をかける。
直樹が小さく唸って、寝返りを打っていた。
(いつもは1人だったのかな…??)
別の女の子と一緒にいるなんて想像すると、胸がチクンと痛んだ。
「…お」
朝ごはんメニューとして、やっぱりスクランブルエッグが多い。
これにシーチキンでも入れたら美味しそうだ。
昨日の料理中にまだ賞味期限が大丈夫なシーチキンと卵を見つけた。
一応直樹も賞味期限が過ぎたやつは捨てるみたい。
「ん…、杏。はぇーよ…」
「あれ。起こした?」
「別に…」
「ならよかった。朝ごはん作るね」
「まだいろよ…」
あれ。寝起きの直樹って甘えん坊…??
軽く腕を引っ張られて、また布団に入った。