暴走族に愛された不登校女子。
「でも6時過ぎてるし…」
「…この時間帯はいつも起きてるのか?」
「まぁ。でなきゃお母さん、怒るんだ。朝ごはんはいつもあたしの担当だったから、早く起きなきゃって」
焦ってばかりだったな。
お母さんはあたしに容赦なく怒るから。
「…ふぅん。俺は知り合いとかと学校行ってるかな」
「え? 時間大丈夫なの?」
「今日は8時に迎えに来るぜ?」
「あぁ。何だ、もう行くのかと思った」
「…早く行ってもつまんねぇーし。男子校だかんな」
「男子校かぁ…」
何かを思い出すように直樹が呟いた。
「彼氏、作んなよ」
「え?」
「何でもいいから、言うことは聞け」
「…強引だなぁ。相変わらず」
「お前、可愛いから」
トクンと胸が高鳴る。
直樹の瞳が少しだけ揺らいだ。
「可愛いよ。杏は」
「…ありがと」