暴走族に愛された不登校女子。
*幸せになろうよ*
* Story 17 *
2人が向かったのは、嵐さんの家だった。
「あれ…? 学校じゃないの?」
あたしが首を傾げて直樹を見つめると、少しだけ笑みを浮かべた。
「まずはアイツにも事情説明をして、協力してもらう」
「それに杏ちゃん、もう夕方の6時だよ?
皆帰っちゃったよ」
智さんの言うとおりだった。
今学校に行っても、誰もいない。
「杏ちゃんって、天然じゃない?」
苦笑する智さんを見て少しむっとした。
「天然じゃないし」
「そうかなぁ」
「智さんのほうが」
「だぁーーーっ!
いちゃつくみたいな会話すんなっ」
直樹が突然声を荒げて、ぎゅっと抱きしめてきた。
「…嫉妬深いなぁ」
智さんが呆れ顔で言った。