暴走族に愛された不登校女子。
(…16年間生きてきたけど…初彼…初同居…)
いっぱいの嬉しさが込み上げる。
だけどその反面では、
大きな不幸があるのではないかと思ってしまう。
「…あ」
つい声を零してしまった。目の前にいた人は携帯に視線を落としていた。
だけどすぐにこちらを振り返る。
「昨日、どこに行ってた?」
「…蒼太」
幼馴染の彼は心配げに見つめていた。
優しい声だけど、いつもより顔が険しい。
「彼氏ンとこ…」
「…え?」
怖い声が聞こえて、足が竦みそうになる。
「それだけっ! じゃあね!!」
そのまま電車に乗り込んだ。蒼太も乗ったけど、さすがに人が多くて話しかけて来なかった。