暴走族に愛された不登校女子。
――学校。
ざわざわ。
痛いくらいに誰かの視線が突き刺さる。
今日も上履きがなかった。
呆れ顔で玄関を後にする。
「っぷ…アイツ靴下じゃん」
「だっさぁーい」
あたしは今まで生きてきた中で、何1つ間違えてなんかいない。
何をしたのだろう。
覚えている限りでは、何もしていないのにね…。
「杏っ!」
「蒼太」
「何で逃げるの??」
「別に…」
「こっち見て喋ってよ!」
「学校では話しかけないでよ」
「…杏」
蒼太にまで、迷惑なんてかけられないから。
あたしがわざと言っていることに察して欲しいよ。
蒼太をそのままにして、教室に入った。