暴走族に愛された不登校女子。
「ださ子おはよぉ~」
猫撫で声が鼓膜を揺さぶった。
だけど声の主には振り返らず、机に視線を落とす。
変わらず支度を進めるあたしにむかついたのか、声音が変わる。
「なによぅ。無視なんてひどぉい…」
泣きまねをするような仕草をしている。
それを男子が騒ぎ立てた。
「おいっ! 学校1の可愛い小呉さんに何言うんだよ!」
「お前さいてー!!」
「学校くんなよ!」
野次が飛んだって構わないのだ。
あたしはそれほど弱くなんかない。
野次を飛ばす人たちに言い返せば、自分だって同じになる。
君達のように酷い言葉は言いたくないの。
さすがに無視をすれば、誰も声をかけなくなる。
これでよかった。
安心していると、真正面に誰かが立った。
(またか…)