暴走族に愛された不登校女子。
それから直樹と智さんは意識を取り戻した。
「直樹、おはよう」
美沙と小呉はそれぞれ、行くところがあるみたいだ。
あたしは直樹の病室で、特に酷い怪我があるわけではないと検査結果を聞いて安堵のため息を零した。
「終わったのか…?」
「うん…、皆それぞれ試練を乗り越えたよ」
「…そうか」
「ねぇ、直樹」
「ん」
「許せないことはあっても、相手と分かり合うことはあるんだね」
「だな……」
「あたしらしいってどういうのか分かった気がする」
「俺も…」
直樹はゆっくりと瞼を閉じて、微笑んだ。
「なぁ、思いっきり抱きしめさせろ」