暴走族に愛された不登校女子。
席替えの結果は嬉しいことに、窓側だった。
残るは隣の人だ。
(あ…。静かな中沢君か…)
中沢 巧(ナカザワ タクミ)。
通称:クール王子さま。
イケメンでクラスでも人気。
小呉の痛い視線が前の席から感じたけど、あまり気にせず窓の外へ視線を向けた。
「…なー」
中沢君が喋ったことに驚いた。
端正な顔立ち。
ブラウンの瞳。
淡いピンクの唇。
イケメンって言われる理由が凄い分かる。
そんな彼が声を出すのは珍しい。
「…?」
「あんたさ、何か言われても気にならないワケ?」
小さな声で言って、こちらをじっと見つめていた。
「気にならないって言えば嘘になるけど…。あたしは弱くなんてないから」
「ふぅん」
(ふぅんって…。やっぱりそっけないなぁ)