暴走族に愛された不登校女子。
そうすることで少しでも苦しみを紛らわせた。
メロンパンを食べ終えると教室に戻った。
あれからひざ掛けが戻ってくることはなく、放課後を迎えた。
(さむ…)
勿論蒼太に言われたことを聞かずに駅に向かっていた。
冷たい地面をゆっくりと歩いていく。
駅に着く一歩手前で、バイク音が聞こえた。
振り返ると、直樹が手招きをしていた。
「あれ。迎えの場所って、もう1つ先の駅でしょう?」
「俺等の学校終わんの早いし、ここまで来ちゃった」
「…もう」
バイクの後ろに乗って背中に抱きついた。
「学校楽しかったか?」
「ううん」
「そっか」
それ以上問い詰めなかったから、よかったと思う。
これといった思い出も話せることもない。
どこか寂しい思いを抱えて、そのまま直樹と家に帰った。