暴走族に愛された不登校女子。
駅で電車を待っていると、後ろから抱きしめられた。
ビクッと身体が震える。
「キミ、1人だね…? 着いてきなよ」
「…誰ですか?」
怖いことなんて慣れているのに。周りの人たちはどんどん電車に乗り込んでしまう。
身体の震えが止まらない。
振り返ると、見知らぬ男の人だった。
「…触らないで下さい」
「俺は小呉の血縁だ。アイツに悪さをするやつは、許さない主義なんだよ…? この意味分かる?
お前をもう、現実に戻れなくしてやるよ」
あたしは悲鳴を上げる間もなく、お腹に痛みを感じる。
(女子に暴力振るうなんて、本当に最低な人だ…)
揺れる景色を見て、その時ふと直樹の顔が思い浮かんだ。
(…あたしはやっぱり誰かに守られなきゃ生きられない人生なのかな…。
いつもいつも、蒼太に守られてばっか…)
そこで、あたしの意識は完全に途切れてしまった。