暴走族に愛された不登校女子。
「それにしても…この街はめんどくさそう」
「何で?」
蒼太が不思議そうに首を傾げた。
あたしは全く笑顔が作れなかった。
だからあの時は怖いイメージしかなかったはずだと思っていた。
「にんげんかんけい、とか」
「っぷ!」
「な、何で笑うの?」
蒼太が口元を押さえて、少し赤茶に似た髪を揺らした。
「6歳のくせに、何でそんな難しいこといえるの?」
「…貴方も6歳?」
「そう。あ、自己紹介まだだった!」
蒼太は体勢を直して、あたしを見つめた。
「俺は蒼太! 普通に呼び捨てていいからなっ! お前は?」
「あたしは…杏。ていうか、さっき呼んでたじゃん。誰から聞いたの?」
「俺の母さんから。何か隣に可愛い子引っ越してくるって聞いて、楽しみにしてた」
あぁ…。
また、それ?