暴走族に愛された不登校女子。




「綺麗だろ?」


「うん…」






「おー! 蒼太っ!! 何? 女連れてるわけぇ?」


びくっと肩が震えた。


蒼太の手のひらに震えが伝わっていく。

人は苦手だ。


特に男の子が。



「……杏?」


「そ、そう、蒼太…。怖い、怖い……」



泣きそうになりながら蒼太を呼んだ。あの時初対面の男の子が凄く怖かったのだ。

蒼太も初対面だったっていうのに、何故か蒼太だけは安心が出来た。





「ごめんっ! この子、人見知りでさ。また今度教えるよ!」


「そっか! でも可愛い子じゃん! 俺等の学校来るなら、その子また紹介してよ!


俺、友達になりたいしさ」


「おう! じゃあな」





その男の子が立ち去っていく。



あたしの耳には、言葉なんて何にも聞こえていなかった。




「男が怖いって本当なの?」



「うん……本当だよ」




< 58 / 304 >

この作品をシェア

pagetop