暴走族に愛された不登校女子。
「綺麗だろ?」
「うん…」
「おー! 蒼太っ!! 何? 女連れてるわけぇ?」
びくっと肩が震えた。
蒼太の手のひらに震えが伝わっていく。
人は苦手だ。
特に男の子が。
「……杏?」
「そ、そう、蒼太…。怖い、怖い……」
泣きそうになりながら蒼太を呼んだ。あの時初対面の男の子が凄く怖かったのだ。
蒼太も初対面だったっていうのに、何故か蒼太だけは安心が出来た。
「ごめんっ! この子、人見知りでさ。また今度教えるよ!」
「そっか! でも可愛い子じゃん! 俺等の学校来るなら、その子また紹介してよ!
俺、友達になりたいしさ」
「おう! じゃあな」
その男の子が立ち去っていく。
あたしの耳には、言葉なんて何にも聞こえていなかった。
「男が怖いって本当なの?」
「うん……本当だよ」